解離性障害(ヒステリー)〜こころの病気〜

 

解離性障害(ヒステリー)

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まだままだ「心の病気」は正しい理解を得られていないのが現状かと思います。誤った偏見を持ったり、「病気ではなく単なる気持ちの持ちようだ!」というようなことで解決しようとする人も少なくありません。
新たな心の病気が増えつつある「心の時代」だからこそ、心の病気に対し多くの人々が正しい理解を持ち適切に対応することが必要不可欠なことだと思います。
  【こころの病気】-解離性障害(ヒステリー)

解離性障害(ヒステリー)

意識の解離による精神障害。
つらい出来事などをきっかけに、記憶、意識、行動がバラバラになって現れる。
記憶喪失、多重人格、また突然、蒸発して後でその間の記憶がないなど。
苦境に置かれると、記憶をなくす、その場から逃げる、別の自分が現れる、
などの症状が現れる。


概要
子どもの頃、友達とケンカをしたとき、強い自分に変身してやっつけたい。または、今の状況から逃げだしたいなどと思った経験はよくあることです。しかし「友達とケンカ」という出来事は、変わり身のはやい子どもたちにとっては深刻な体験ではありません。だいたい仲直りしたりケンカしながら一貫した「自己」(同一性)というものを作り上げていくものです。
ところが子どもの時代に直面した出来事が、つらい虐待や陰湿ないじめ、親の自殺現場に直面したなど、絶えがたい「卜ラウマ」 を受けた場合などでは、この同一性が阻害されてしまいまうのです。
つまり今苦痛を感じて苦しんでいる自分を別の人だとする解離機能を使って処理しようとします。これは心と体が別々の行動をとったり、記憶をなくすことで、置かれている苦しい状況を回避しようとするからです。


どんな症状
記憶をなくす、逃避、別の人格が住みつくなど解離性障害の症状は、
心と体が別々の行動をとったり、記憶をなくすなど、多彩です。以下参照。

-解離性健忘-
本人にとってショックな出来事が起きたあと、数日間〜数週間の記憶が失われる。

-生活史健忘-
自分がどこで生まれて、どんな育ち方をしたのかなど、自分の生活史に関する記憶の
ほとんど、あるいは一部を失う。

-解離性遁走-
知らないうちに家庭から突然失綜し、知らないうちに別の場所にいる。2〜3日さまよったり、
まれに数週間もさまようことも。長期化すると全く知らない土地で別の生活を始めようとすることもある。

-解離性運動障害-
手足が動かなくなり、人の介助なしでは立ったり座ったりできなくなる。

-解離性雷迷-
座ったり、横になったままの状態が続き、話しかけても反応しない。
音や刺激にも反応しない。

-解離性知覚麻揮-
皮膚の感覚が鈍くなり、刺激を受けても感じない。

-多重人格(解離性同一性障害)-
二人以上の別の人格が現れ、別の人として会話や行動をする。


対策は
解離性運動障害や感覚麻療が現れる場合は、はっきりした自覚があるため本人が進んで受診することもありますが、例えば解離性健忘や遁走の場合は、記憶をなくしたこと自体気づかずに生活しているため、自発的な受診はほとんどありません。
多重人格や昏迷では「突然話し方や声が変わる」「人が変わった」「寝たまま動かない」などといった独特の症状が現れるため、家族が相談に来院するケースが多くあります。
治療は、別々になった人格を統合することにあるといわれますが、子どもの頃に受けた外傷体験を癒すのは容易なことでなく、回復には時聞がかかります。


ポイントは
解離性障害の治療には「周囲の協力とケアがなければ無理」といわれています。
本人の行動や言動を、理解できないと感じても、すべて受け入れてあげることが大切です。多重人格の場合では、まったく別の人格が、つらい子ども時代の話をしたりすることもあります。そんな時も否定することなく、話をよく聞いてあげることがとても重要になります。


ヒステリーも解離症状の一つ
昔は「女性特有の心の病気」と、ヒステリーは考えられていましたが男女ともに起こり得る解離性症状の一つです。心理的ストレスがかかると、目が見えなくなる、歩けない、声が出ないなどの身体的症状が現れる転換性ヒステリーと、記憶喪失、意識が混濁する、多重人格などの精神症状が現れる解離性ヒステリーがあります。
どちらも心理的ストレスから逃避するために現れる症状で、本人は意識的にやっているわけではありません。自己顕示的性格(ヒステリー性格)の人に多いといわれ、症状も決まって人前で現れ、誰も見ていない状況ではめったに出ないことから「仮病」として扱われた時代もありました。
そのため「ヒステリー」という病名もネガティブな響きを嫌い、今ではほとんど使われなくなりました。

 
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