己が分を知りて、及ばざる時は〜こころの栄養学〜

 

己が分を知りて、及ばざる時は

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  【こころの栄養学】-己が分を知りて、及ばざる時は

己が分を知りて、及ばざる時は速かに止むを、智といふべし
吉田兼好 『徒然草』より

おなじみの『徒然草』中の一節です。意味は読んでのとおりで、

「自分の分というものを知り、これ以上は無理だと思ったときは
ただちに中止するのを人間の知恵という。」

というものです。こう聞かされると、そそっかしい人は、
「そうか、ダメだとわかったらすぐにやめてしまうのがいいんだ」
などと早とちりしがちですが、兼好法師の言いたいところは「中止の知恵」などという
一方的なものではありません。

最も注目すべきは「己が分を知りて」にあります。
「分」とは「分相応、分不相応」の分で、「身の程」「力量」の意味ですね。

したがって、全体の意味は、まず自分の力量をしっかりと見極めることが重要であり、
それがわかっているなら、もうこれ以上は自分の力量の及ぶ範囲を超えていると
自覚した時点ですみやかに中止するのが知恵というものです。

つまりは「自分の力量をしっかりと見極めること」の大切さを説いているのです。
さて、あなたに、それができるのでしょうか?

実は、これが、あなただけでなく、私たち人間にとっては、とっても難題なのです。
なぜなら、自分の「分」を知ることは、他入の「分」を知ることよりも
何十倍、何百倍も難しいことですから・・・。


吉田兼好 1283〜1350。
鎌倉末期の歌人・随筆家。 和歌四天王の一。
「徒然草」は随筆文学の名著。歌集『兼好法師集」など。


 
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